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技能実習 環境改善へ監視 15カ国と悪質業者排除へ 調査職員強化、失踪対策も (2019/8)


日本経済新聞 8月8日 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO48328890X00C19A8EE8000/

厚生労働省と法務省は外国人技能実習生の就労環境を改善させるため監視を強める。在留外国人の3割を占める中国を含めた15カ国と協定を結び、悪質な仲介業者を実地調査し、排除する。日本側でも違法な長時間労働を実習生に強いる悪質な事業主を監視するため調査要員を大幅に増やす。人手不足の現場で実質的に貴重な戦力とみられている実習生。政府は劣悪な職場の改善にようやく動き出す。

外国人の技能実習制度は1993年に始まった。2018年末時点で32万8360人となり、4年前の約2倍に増えた。一方、希望とは全く異なる業務に就かせられている実習生も多い。受け入れる日本の事業主が違法な長時間労働を強制し、実習生がケガをしても労災を申請しないといった問題も指摘されてきた。

国際社会では「現代の奴隷制」ともいわれている技能実習生。その劣悪な就労環境を抜本的に改善する策は長く後手に回ってきた面も否めない。

政府による総合的な対策の柱の一つは悪質な仲介業者の排除だ。実習生が借金で高額な保証金を母国の仲介業者に払って日本に渡航する例が問題になっている。実習生が希望する業種に送り出さない業者も多いとされる。悪質な仲介業者を探り出し、母国の担当機関の業者リストから除外する。

政府は在留外国人の3割を占める最大の送り出し国である中国と近く協力覚書(MOC)を結ぶ。すでに覚書を結んだインドネシアやベトナムなどを含め、実習生を送り出している主な15カ国すべてと連携する。

実習生の情報管理も厳しくする。劣悪な労働環境や多額の借金に耐えきれず、仕事を途中で投げ出して失踪する実習生は17年末までの5年間でのべ2万6千人に上った。
実習生の氏名・性別、国籍などを公共職業安定所(ハローワーク)に届けるよう事業主に義務付けているが、在留カード番号も追加する。9月に省令改正を予定する。20年に施行する見通しだ。

在留カード番号を届け出れば、ハローワークを通じて厚労省が把握できる実習生の雇用管理と、法務省の出入国管理システムとの連携が円滑になる。番号で一元管理することで、大文字・小文字の誤表記や転記ミスで実習生の情報が追えなくなるリスクを減らす。失踪者を見つけやすくする。 日本の事業主も監視を強める。技能実習生を雇う事業所の7割強で残業代の未払いなどの違法行為が発覚している。違法な長時間労働もはびこっているとされる。

悪質な事業主を摘発しやすくするため、事業所の監視を担当する外国人技能実習機構(東京・港)の調査機能を拡充する。19年度の調査要員は約590人とし、前の年度比で7割増やした。20年度は日本語に不慣れな実習生の聞き取りができるように通訳を雇ったり、職員に専門知識を身につけさせたりする。必要な額を20年度の予算で要求する。

外国人労働者は150万人規模に膨らんだ。19年4月の改正出入国管理法の施行で、政府は農業や介護、造船など14業種で外国人労働者の受け入れを拡大する。ただ、技能実習生の劣悪な労働環境を放置すれば、優れた外国人材に日本が敬遠されかねないとみて厳しい対応に動き出す。

日本が協定を結んだ国 ベトナム、カンボジア、インド、フィリピン、ラオス、モンゴル、バングラデシュ、スリランカ、ミャンマー、ブータン、ウズベキスタン、パキスタン、タイ、インドネシア(中国は近く締結)

参考:「日本国法務省・外務省・厚生労働省とブータン王国労働人材省との間の技能実習に関する協力覚書(MOC)」 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188516_00004.html
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000470285.pdf



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