今週の本棚 養老孟司・評 『モンパとブロクパの衣装民族誌』=脇田道子・著
毎日新聞 2026年5月16日にブータンやインド国境地域の民族研究を行っている、脇田氏の著書『モンパとブロクパの衣装民族誌』が、養老孟司氏による書評で紹介されました。
『今週の本棚 養老孟司・評 『モンパとブロクパの衣装民族誌』=脇田道子・著』
記事:https://mainichi.jp/articles/20260516/ddm/015/070/002000c
[要約]
インド北東部、ブータンやチベットに接する高地に暮らすモンパとブロクパ。本書は、彼らの衣装文化を通して、人々の暮らしや自然観、社会との関わりを描き出した民族誌である。著者は長年にわたり現地調査を重ね、衣装の素材や製法だけでなく、それが祭礼や信仰、共同体の中でどのような意味を持つのかを丁寧に記録している。
ヤクや羊の毛、植物繊維など、自然環境から得られる素材を用いた衣装は、寒冷な気候への適応であると同時に、美意識やアイデンティティーの表現でもある。帽子や装飾、色彩には社会的立場や文化的背景が映し出され、衣装そのものが「文化をまとう存在」であることが伝わってくる。
近代化が進む中で変わりゆく暮らしを背景に、本書は地域文化の豊かさと、人と自然との深い結びつきを静かに問いかける一冊となっている。
[書籍について]
法蔵館:https://pub.hozokan.co.jp/book/b660083.html
目次:まえがき
第1章 地域の概要
第2章 モンパの民族衣装を読む
第3章 牧畜民ブロクパの谷 メラとサクテン
第4章 染める・織る・運ぶ
コラム モンパの多目的バッグ、ダンンガー
第5章 シンカに必須の腰当て布
第6章 民俗芸能に残る衣装
第7章 仏教行事を通じた国境を越える交流
第8章 第二の故郷を創る―ペマコのモンパ
第9章 西カメン県のモンパの隣人たちの民族衣装
第10章 タワンの手漉き紙作り
[著者プロフィール]
脇田道子(わきた みちこ)氏は、文化人類学を専門とする研究者で、現在は日本ブータン研究所の研究員を務めています。旅行会社に長年勤務した後に大学院へ進学し、ブータンやインド国境地域の民族研究を行っている異色の経歴を持つ人物です。
・生まれ:1951年、東京都生まれ。
・専門分野:文化人類学、ブータン研究、少数民族研究。
・所属:日本ブータン研究所 研究員。
・学歴:経歴早稲田大学第一文学部日本史学専攻を卒業。旅行会社に28年間勤務。退職後、立教大学大学院文学研究科博士前期課程に入学し、2006年に修了。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士後期課程へ進み、2014年に博士号取得。
・主な研究テーマと活動
1976年に初めてインドやブータンを旅して以来、この地域に深く惹かれ研究を続けています。特にインド・ブータン国境の民である「モンパ」や、東ブータンの牧畜民「ブロクパ」のアイデンティティ、衣装文化、ツーリズム開発(観光化)に伴う社会変化などをテーマに現地調査を行っています。
山本けいこ様配信の「Bニュース(http://bhutan.fan-site.net/)」より転載
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